「”秋春制”って何?」
2026年から、Jリーグが「秋春制」に変わります。
メリット・デメリットがあり、サポーターからは様々な意見が出ています。
すごく難しい問題。
ですが、「そもそも秋春制って何?」という方もいるのではないでしょうか?
「読み方もわからん!」みたいな。
そんな方のために、「秋春制とは何?」をテーマに記事を書いていきます!
「もっとサッカーが楽しくなる」をテーマに、ブログを書いています。
【10分以内】で、気軽に読める記事がたくさんあります。
初心者の方も、サッカー通の方も、ぜひ楽しく読んでください。


秋春制とは?
読み方は『あきはるせい』。
サッカーにおける”1年”が行われる季節を指しています。
「○○制」って聞くと、少し難しいイメージがありますが・・・。
実はすごくシンプルです。
秋にシーズンがスタート
Embed from Getty Images秋にシーズンが始まり、春にシーズンが終わる。
だから、「秋春制」。
例えば、アメリカなどは9月から学校が始まりますよね?
そんなイメージ。
9月くらいから、Jリーグのシーズンがスタートするようになります。
現在は「春秋制」
Embed from Getty Images1993年のJリーグ開幕以降、30年以上に渡って「春秋制(はるあきせい)」が採用されてきました。
こちらも意味はそのまんま。
春にシーズンが始まって、秋にシーズンが終わります。
秋春制のメリット
「秋春制」を導入するのは、もちろんメリットがあるから。
最も大きいとされるメリットは、以下の3点。
欧州の移籍市場と合う
Embed from Getty Imagesここ10年間で、日本サッカーの存在感が急速に増しました。
別の言い方をすると、「日本がめちゃくちゃ強くなった」ということです。
日本が強くなるのに比例して、「日本人選手への需要」も増加。
いまや、欧州でプレーする日本人選手は100人を超えています。
本当に凄い時代になりました。
ただ、これまでは懸念点がありました。
それは、「Jリーグと欧州リーグの開催時期がズレている」ということ。
- Jリーグ:春秋制
- 欧州リーグ:秋春制
何が問題かというと、移籍が難しくなるんです。
主に、夏に移籍する場合と冬に移籍する場合の2パターンがあるので、それぞれ見ていきましょう。
夏に海外移籍する場合
まずは、夏に移籍する場合。
先でも述べた通り、欧州では9月(8月)からシーズンが始まります。
そのため、シーズン前のキャンプを夏に行います。
戦術を叩き込んだり、選手同士のコミュニケーションをとる機会が多く設けられたり。
つまり、夏の移籍であれば、”チームの立ち上げ”から帯同できるんです。
これは、チームスポーツにとっては非常に重要なこと。
ましてや、海外での生活となるわけですから・・・。
しかしこの場合、Jリーグはシーズンの真っ只中。
クラブを途中退団することになるので、移籍に踏み切れない選手もいるでしょう。
また、監督にとっても大ダメージです。
欧州から声がかかるということは、「チームの主力」であることはほぼ確実。
そんな選手がシーズン途中で抜けてしまったら・・・。
冬に海外移籍する場合
次に、冬に移籍する場合。
冬の場合は、Jリーグはシーズンが終了しています。
なので、「途中離脱して、チームに迷惑をかけてしまう」という心配はありません。
ただ、移籍する選手本人が難しい状況になります。
なぜなら、出来上がっているクラブに、1人放り込まれることになるので・・・。
これが影響し、海外挑戦が上手くいかなかった選手もいるかもしれません。
Jリーグが秋春制になったら・・・
Jリーグが秋春制になった場合、欧州リーグとの開催シーズンが同じになります。
上記のような、”途中退団のリスク”や”シーズン中のクラブに加入する”といったリスクは大幅に減ります。(冬の移籍の場合は除く)
つまり、「日本人選手が海外挑戦しやすくなる」ということ。
そして、成功確率も上がるのではないでしょうか?
まさに「最高」なわけですが・・・。
「Jリーグの良い選手がみんな海外移籍しちゃうの?」という懸念も。
その点に関してはまだ未知数。
ただ、”海外→Jリーグへの輸入(海外の選手)”というケースも増えるのではないかと思っています。
もちろん、”日本人選手のJリーグ復帰”も、今よりも容易になるはずです。
代表・ACLのスケジュールと合う
Embed from Getty Images秋春制になると、”日本代表”にとってもメリットがあります。
というのも、FIFAが定める”国際Aマッチデー”は欧州基準(秋春制)で作られているからです。
そのため、秋春制であれば代表戦がリーグ戦のど真ん中に組み込まれることが前提となっており、クラブと代表のスケジュールを無理なく調整できます。
秋春制にすることで、アジアのクラブNo.1を決めるACL(AFCチャンピオンズリーグ)との相性も良くなります。
実はACLも、2023-24シーズンから秋春制に移行しており、ヨーロッパのチャンピオンズリーグと同じように「8月開幕 → 翌年5月決勝」という流れになりました。
しかし現在のJリーグは春秋制なので、「グループステージを突破→決勝トーナメントは“翌シーズンのチーム”で戦う」という不自然な状況になります。
移籍や監督交代があった場合、まったく別のチーム状態で重要な試合に臨むことになり、「せっかく積み上げた戦い方がリセットされてしまう」という課題が出てきます。
秋春制に移行すれば、ACLと国内リーグのスケジュールが揃い、チームの完成度を保ったまま戦えるようになります。
※「ACLで優勝した日本のクラブ」についてまとめています。

夏の試合を避けられる
Embed from Getty Images近年、日本の夏の暑さは異常です。
日中は40℃近くまで暑くなるし、夜でも30℃超えは当たり前。
もはや、「サッカーをやる季節ではない」と言っても過言ではありません。
そんな暑さの中で試合・練習を行ったら、選手たちの身体への負担は凄まじいでしょう。
現地観戦するサポーターにとっても、熱中症のリスクは確実に上がっています。
その点、秋春制になれば、”夏の試合”を避けられます。
これは、選手・サポーターどちらにとっても大きな利点です。
未確定ではありますが、“8月1週目にシーズン開幕”という案が出ているようです・・・。(参照:Jリーグ公式)
秋春制のデメリット
Embed from Getty Imagesメリットもあれば、デメリットもある。
特に、「四季がある」という日本の特徴が、秋春制を難しくしています。
雪国問題

最も大きい懸念材料が、雪国問題。
北海道、東北、北陸のクラブにとっては大問題です。
2025年現在、唯一の”雪国のJ1”であるアルビレックス新潟が、全力で「秋春制反対」を主張しています。(参照:読売新聞)
これは、「秋春制が嫌だ!」とかいう感情的な話ではなく、「現実的に無理でしょ」という主張。
- ピッチコンディションの悪化
- 選手・観客の安全確保の問題
- スタジアム設備・運営コストの増大
- 交通インフラ・アクセスの問題
- 収益・ファン離れリスク
- 雪が降る季節は「連続アウェイ」になる など
新潟では、”一晩で30cmの雪が降る”ことも珍しくありません。
30cmっていうと、だいたい”膝下くらい”です。
そんなに雪が降っていたら、ハッキリ言って試合になりません。
というか、そもそも試合会場にたどり着けないかもしれません。
「練習場もどうするの?」っていう話。
「その時期は雪国で試合を開催しなければいい」という意見もありますが、そう簡単にはいきません。
アウェー続きでホテル暮らしになったら、身体的にも精神的にも疲労が溜まります。
コスト・コンディション等、色々な面で「フェアじゃないでしょ?」っていうのが、雪国側の主張です。
寒過ぎて観客数が減る?
Embed from Getty Images雪国が寒いのはもちろんですが・・・。
首都圏でも、冬は”5℃前後”という日があります。
「そんな寒さで、サッカー観戦ってキツくないですか?」
これに加えて、雨が降ろうもんなら・・・。
「どんな天気でも行くぜ!」っていう、ガチ勢サポーターにとってはヘッチャラだと思います。
ただ、「普通の人たちは行くかな?」という話。
風邪を引くのを恐れて、自宅で観る人も増えそう。
そうすると、観客数・クラブの収益面に影響が出るでしょう。
ただ、”夏にも同じことが言える”というのが非常に難しい。
卒業シーズンとのズレ

春秋制の現在、各クラブは1月に始動します。
高卒・大卒でプロ入りする選手たちは”卒業前”にクラブに帯同することになります。
ただ、部活は引退しているし、卒業まではたったの2ヶ月弱。
「学生生活を最後まで全うできる」と言っても問題ないでしょう。
では、秋春制になった場合。
クラブは7~8月頃に始動するでしょう。
学生にとっては、まだまだ大会が残っています。
この点をどうしていくのか?
個人的には、夏は「特別指定制度」を利用し、冬から正式加入という流れになるのかなぁと。
他の国のシーズン
Embed from Getty Images秋春制と春秋制について見てきました。
そこで気になるのは、「どの国のリーグが秋春制なのか?」という点。
日本のサッカーファンにも馴染みがあるリーグを中心に見ていきましょう。
秋春制を採用している国
ヨーロッパはほぼすべてのリーグが”秋春制”を採用。
アジアでも中東諸国を中心に、タイなども秋春制です。
- 🇬🇧 イングランド(プレミアリーグ)
- 🇪🇸 スペイン(ラ・リーガ)
- 🇮🇹 イタリア(セリエA)
- 🇩🇪 ドイツ(ブンデスリーガ)
- 🇫🇷 フランス(リーグ・アン)
- 🇳🇱 オランダ(エールディビジ)
- 🇧🇪 ベルギー(ジュピラー・プロ・リーグ)
- 🇵🇹 ポルトガル(プリメイラ・リーガ)
- 🏴 スコットランド(スコティッシュプレミアリーグ)
- 🇹🇷 トルコ(スュペル・リグ)
- 🇷🇺 ロシア(プレミアリーグ)
- 🇸🇦 サウジアラビア(サウジ・プロリーグ)
- 🇶🇦 カタール(スターズリーグ)
- 🇹🇭 タイ(タイ・リーグ1) など
春秋制を採用している国
春秋制を採用しているのは、実は日本だけではありません。
お隣の韓国や中国。
また、南米でも春秋制に近い構成でシーズンが組まれています。
- 🇯🇵 日本(Jリーグ)
- 🇰🇷 韓国(Kリーグ)
- 🇨🇳 中国(中国スーパーリーグ)
- 🇻🇳 ベトナム(Vリーグ)
- 🇮🇩 インドネシア(リーガ1)
- 🇺🇸 アメリカ(MLS)
- 🇲🇽 メキシコ(リーガMX)
- 🇧🇷 ブラジル(セリエA)
- 🇦🇷 アルゼンチン(プロリーガ)
- 🇨🇴 コロンビア(カテゴリア・プリメーラA)
- 🇵🇪 ペルー(プリメーラ・ディビシオン)
※メキシコ、アルゼンチンのリーグは前期・後期があります。
まとめ
秋春制には、まだまだ問題は山積み。
そして、様々な意見があることも事実です。
そして、4月から新学期が始まる日本において、わざわざ「秋にシーズンを始めること」を選んだことの意味。
サッカーの本場に基準を合わせ、「もっと上に行こう」という強い意志を感じます。
日本サッカーは、それだけ本気だということ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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