2022年カタールW杯にて、日本代表は”死の組”を首位突破。
ドイツ・スペインという優勝候補に勝利したことは、”日本国民に感動を”、”世界中のサッカーファンに衝撃を”与えました。
W杯開幕前の森保JAPANへの評価は非常に低く、日本国民からも期待されていない状況。
ましてや優勝候補2カ国と同じグループに入ったことで、世界中が”日本のGL(グループリーグ)敗退”を予想していました。
世界中の予想を良い意味で裏切り、大きな注目を集めた日本代表。
強豪との対戦で勝ち得たものがある一方、”死の組”を突破したからこそ見えた課題もありました。
今回は、2022年カタールW杯で日本サッカーが得たものと4年後への課題についてです。
サッカー日本代表についてまとめています。
カタールW杯で日本サッカーが勝ち得たもの
今大会、日本代表が掲げた目標は「ベスト8」。
これまでの最高成績はベスト16で、ベスト8という新たな景色を見るためにカタールの地に向かいました。
結果的には最高成績タイの「ベスト16」での敗退となりましたが、日本サッカーにとって大きな収穫があったことは間違いありません。
”死の組”を突破
Embed from Getty Images日本代表がW杯で”死の組”に入ったことは7回目のW杯で初めてのこと。
大会前には、「ドイツ・スペインの2強であって、死の組ではない」といった声すらもありました。
ドイツ・スペインは日本やコスタリカに苦戦することは想像していなかったでしょう。
世界から低く評価されていた日本代表が”優勝候補を破ったこと”は間違いなく大きな自信になります。
もうひとつの大きなポイントは、ドイツ・スペインの2チーム相手に”逆転勝ち”している点です。
- 1点とっての逃げ切り
- 1点とって引き分け
もちろん、強豪相手に奇襲をかけて1点を奪うことはものすごく難しいことです。
それでも、今の日本代表の実力なら、1点だけなら奇襲をかけて奪うことは想像できるでしょう。
ただ、”2点を奪って試合をひっくり返すこと”は、本当に実力があるチームにしかできません。
戦術がハマっただけではなく、日本代表が実力をつけていることは間違いありません。
まだまだドイツ・スペインは日本代表よりも格上ですが、強豪相手に「勝てるイメージ」を持てるようになったことは大きすぎる一歩です。
優勝候補から奪った勝利の凄さについて解説しています。
「死の組」とは
GL(グループリーグ)にて、同じグループに強豪複数チームが入り、どのチームが予選を突破するか予想が難しい組みのこと。
”前線からの守備”という武器
Embed from Getty Images日本代表が強豪相手にとった戦術は「前線からのプレッシング」。
攻撃的な選手が積極的な守備を行い、「相手DFに自由にボールを持たせない」という作戦です。
本来、FWは得点を奪う役割の選手です。
近年はFWの選手にも守備が求められますが、今大会の日本代表のFWは”守備が最優先”と言わんばかりの戦術でした。
ただ、これは非常に理に適った戦術です。
強豪国は簡単には大きくボールを蹴らず、DFの選手もきちんとパスを繋ぎます。
DFの選手は攻撃的な選手に比べると足元の技術が劣るため、前からのプレスでミスが起きやすくなります。
そしてこの戦術は、”前田大然”という選手がいたからこそ成立しました。
前田大然選手のスプリント回数
・ドイツ戦:71回(57分出場)
・スペイン戦:62回(62分出場)
・クロアチア戦:68回(64分出場)
50mを5秒台で走る瞬足の前田選手ですが、ダッシュを繰り返せるスタミナに相手選手は驚愕しました。
元イングランド代表DFのファーディナンド氏も、驚きを隠せず。
「彼は本当に精力的だった。国際試合ではまだ2得点だが、彼は取り憑かれたように動き回っていた。彼の走りが(クロアチアの)状況を難しくしていた。ボールがある時もない時も厄介だった」(引用:FOOTBALL ZONEより)
Jリーグ通からすれば、前田大然のスピードとスプリント回数の多さには見慣れているでしょう。
もしかすると、前線からのプレスが今後のサッカーのトレンドになるかもしれません。
前田大然選手について詳しく知るにはこちらをクリック。
・【前田大然について】
スプリントとは
時速24km以上のスピードで走ること。
ビッグクラブからの注目度
Embed from Getty Images2010年南アフリカワールドカップで躍進した日本代表。
当時の日本代表メンバーを見ると、海外でプレーしている選手は4名のみ。
W杯での活躍でドイツなどヨーロッパでプレーする選手が急増し、4年後の2014年ブラジルW杯日本代表メンバーでは12名の選手が海外でプレーしていました。
W杯日本代表の海外組の人数
・2010年:4名
・2014年:12名
・2018年:15名
・2022年:19名
現在では大半が海外でのプレー経験がある日本代表ですが、中堅クラブでプレーしている選手が多いのが現状。
日本代表がベスト8以上を目指すには、多くの選手がビッグクラブと呼ばれる強豪クラブでプレーすることが1番の近道になります。
現段階でビッグクラブでプレーするのは冨安健洋選手ただ一人。
W杯前から注目を浴びている鎌田大地選手や、勝負強さを発揮した堂安律選手、個人技で世界を驚かせた三笘薫選手にはビッグクラブからのオファーが舞い込むはずです。
また、ドイツ2部でプレーする田中碧選手もW杯で堂々たるプレーを披露。
1部からのオファーが届いてもおかしくありません。
- より多くの選手が海外でプレーをする
- 中堅クラブからビッグクラブへのステップアップ
W杯後の日本代表選手には、明るい未来が待っているはずです。
日本代表選手の海外組の比率についての記事はこちら。
【歴代日本代表W杯メンバーの所属クラブ】
「ドーハの悲劇」から「ドーハの歓喜」へ
Embed from Getty Images日本代表のW杯初出場は1998年フランス大会です。
実は、その前回大会である1994年アメリカW杯アジア最終予選にて、W杯出場まであと一歩のところで逃しています。
この試合こそが、ドーハで行われたイラン戦・”ドーハの悲劇”です。
試合終了まで残り数秒のところで失点し、日本はW杯出場を逃します。
失点の瞬間、現在日本サッカー界のレジェンドと称される男たちが、ガックリと肩を落としました。
- 三浦和良
- 中山雅史
- 井原正巳
- 福田正博
- 長谷川健太
- ラモス瑠偉 など
そのメンバーの中には、今大会の監督を務めた森保監督の姿も。
大金星を挙げたドイツ戦、スペイン戦の開催地は、約30年前に悲しみに暮れたカタールのドーハ。
「ドーハの悲劇」→「ドーハの歓喜」
Embed from Getty Images選手として”ドーハの悲劇”を味わった森保一さんは、30年後に監督として”ドーハの歓喜”をもたらしました。
森保監督の息子さんは、現在サッカー系YouTuber ”LISEM”として活動しています。
また、YouTuberのサッカーチーム・WINNERSに所属しています。
・【YouTube界のサッカーチーム・WINNER’Sについて】
”本田圭佑”と”影山優佳”
今大会のカタールW杯では、選手だけでなく、日本サッカーの解説陣にも大きな収穫がありました。
本田圭佑
Embed from Getty Images言わずと知れた”元日本代表のエース”。
- 元日本代表
- カンボジア代表監督
- 経営者
現在は複数の顔を持つ本田さんが、abemaにて日本代表戦の解説を務めました。
現役時代は自らにプレッシャーをかけるため、”ビッグマウス発言”も繰り返した本田さん。
感情を全面に出した”居酒屋解説”を披露し、現役時とのギャップに驚いたサポーターも多いはず。
YouTubeでは”本田語録”がまとめられる程の反響を呼びました。
- 「ギュンドアンうざいなぁ〜」(ドイツ戦)
- 「ズーレが穴なのよ!わかる?」(ドイツ戦)
- 「副審の人がオフサイドじゃないよみたいな雰囲気出すんですよ」(ドイツ戦)
- 「佑都(長友)のパスが雑い」(コスタリカ戦)
- 「ゴンちゃん(権田)行け!行っていいよ!!」(コスタリカ戦)
- 「オフサイド遅いねん!俺がラインズマンやろか!?」(スペイン戦)
- 「ちょ、まだ泣くの早いて!」(スペイン戦)
- 「7分!?!?(アディショナルタイム)」(スペイン戦)
- 「埼玉スタジアムですか?ここは。」(クロアチア戦)
- 「向こうの監督、ライセンス持ってる?」(クロアチア戦)
- 「これね、PK見ます?見れます?」(クロアチア戦)
思わず笑ってしまうような発言をしたかと思えば、的確な指摘をしてサポーターを唸らせました。
楽しませつつ、サッカーの知識も披露する。
3大会連続W杯で得点をあげ、ACミランの10番を背負うという日本最高峰の実績を持つ本田さん。
Embed from Getty Images「居酒屋解説×正統派解説」の最強の解説者”本田圭佑”が誕生しました。
影山優佳
「あなたのハートにゲーゲンプレス」という決め台詞を持つ、日向坂46の影山優佳さん。
複数試合の試合展開を的中させるなど”アイドルらしからぬサッカーの知識”を披露し、驚いたサッカーファンも多いことでしょう。
以前からDAZNのサッカー番組にたびたび出演し、内田篤人さんとも仲良し。
影山さんのサッカー愛は本物で、深夜に行われる各国リーグの試合もしっかりとチェック。
「いつ寝ているの?」と心配になる程の数の試合を観戦し、その情熱にはサッカー関係者も舌を巻きます。
サッカーファンが共感する発言ばかりではなく、サッカー初心者にもわかりやすく話ができる点もポイント。
個人的には、影山優佳さんがメインを務めるサッカー番組ができることを願っています。
ゲーゲンプレスとは
ボールを奪われた瞬間に激しいプレスをかける戦術。
香川真司在籍時のドルトムントが採用していた。
4年後への課題
次回のW杯は4年後の2026年に開催されます。
予定地はアメリカ・カナダ・メキシコで、3カ国共同開催です。
今大会、日本代表は世界を驚かせ、ステップアップしたことは間違いありません。
日本サッカーが勝ち得たものがある反面、ベスト8以上の成績を残すための課題も見えました。
主導権を握っての戦い方
Embed from Getty Images今大会ではドイツ・スペインという強豪相手に大金星をあげました。
「引いて守ってカウンター」という、相手の強さを認めた戦術がはまり、見事勝利を収めました。
ただ、日本代表がボールを保持する時間も多かったコスタリカ戦、クロアチア戦では敗北を喫しています。(90分間でみると、クロアチアには引き分け)
アジアではボールを保持し、相手DFを崩して勝ち上がった日本代表。
W杯に出場するレベルの相手になると、思うようなサッカーができないのが現状です。
W杯の舞台で試合の主導権を握れた点は、確実に日本サッカーの進歩です。
- ゴール前での精度
- DFラインからの縦パス
リスクを冒しての攻撃的なプレーができれば、日本代表は世界の高みへと近づくはずです。
PK戦での強さ
Embed from Getty Images「PKは運」
この言葉は半分本当で、半分は嘘だと思います。
アマチュアながら、私もPK戦を戦ったことが複数回あります。
観ている人にはわからない程のプレッシャーが襲い、まるで足が棒のように感じます。
それがプロの世界、ましてやW杯の舞台であれば、恐怖でおかしくなってしまう程のプレッシャーでしょう。
PK戦は本当に残酷な決着のつけ方です。
ですが、クロアチアとのPK戦を見て、「運」だけでは片付けられないように感じました。
クロアチアのGKリバコビッチ選手はPK職人として有名な存在です。(引用:NumberWEBより)
日本の選手たちは、「PKを外した」ではなく、「PKを止められた」が正解です。
かつての日本代表には、いとも簡単にPKを決める遠藤保仁という選手がいました。
Embed from Getty Images表情ひとつ変えずに、相手GKの逆にPKを蹴り込む。
あまりのPKの上手さに、相手監督が笑ってしまうこともありました。
そんなPK職人がいると、PK戦での勝率はグッと上がるはずです。
ちなみに、鎌田大地選手はドイツの所属クラブでPKキッカーを務めることもあります。
相手サポーターから顔にレーザーを当てられても、笑いながらPKを決めていました。
PKの失敗を責めることはできません。
ただ、W杯のような紙一重の戦いではPKを避けることも難しいです。
今大会でのPK負けは、4年後への教訓になるはずです。
絶対的なストライカーの存在
Embed from Getty Images今大会のメンバー発表では、大迫勇也選手の落選が大きな話題となりました。
2014年、2018年W杯に出場し、強豪コロンビア相手にゴール。
最前線でボールを収め、得点に絡むなど、長年に渡って”半端ない活躍”をしました。
今大会では”死の組”に入り、強豪相手に前線からプレスをかける戦術を選択。
その役割を全うした前田大然選手、浅野拓磨選手が揃って一得点をあげました。
しかし、コスタリカ戦やクロアチア戦の後半は大迫選手の不在を嘆いた方も多いのではないでしょうか。
- 前線でキープして時間を作る
- 攻撃の起点になれる
こういった選手は、後方の選手からすると非常にありがたい存在です。
強豪国を見ると、「とりあえずボールを渡せば違いを作ってくれる」チームのエースがいます。
- ブラジル代表:ネイマール
- アルゼンチン代表:メッシ
- イングランド代表:ケイン
- フランス代表:エンバペ
今大会の日本代表では、上田綺世選手、町野修斗選手が前線での起点になることや得点を期待されていました。
しかし、上田選手は45分のみの出場で、町野選手は出番なし。
両名とも、非常に悔しい想いをしたはずです。
この悔しさをバネに切磋琢磨し、4年後のW杯ではエースストライカーに君臨しているかもしれません。
“戦術三笘”の生かし方
Embed from Getty Images今大会では、両サイドの伊東・三笘が武器になっていました。
特に、三笘薫選手はドイツ・スペイン相手でも確実に相手を剥がし、”強烈な個の力”を発揮しました。
しかし、クロアチア戦では三笘対策が施され、三苫選手が1vs1を仕掛けられる回数は限られていました。
”三笘薫”という選手は、今後の日本代表にとっても間違いなく強みになります。
- 対策を講じられた時に、どのように相手DFのブロックを崩すのか。
- どのように三笘に1vs1の状況を作らせるのか
この課題が解決に向かう時、三笘薫の脅威は世界トップレベルのものになるでしょう。
まとめ
W杯直前になってもサッカー関連の話題が少なく、個人的に焦りを感じていました。
数年前から日本国民のサッカー熱が低下していることはわかっていたものの、「4年に1度のW杯なのに・・・」という悲しさがありました。
しかし、そんな焦りはドイツ戦で消え去りました。
優勝候補からの大金星で一気に注目が集まり、テレビをつければサッカー関連の報道ばかり。
サッカーを愛する身としては本当に嬉しく、”勝って泣ける日”が来るとは思いもしませんでした。
今大会での日本代表の大活躍に心から感謝します。
そして、日本代表が”サッカー強豪国”になることを待ち望んでいます。
今大会でサッカーに興味を持った方が、4年後には”サポーター”になっていますように。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
日本代表はもちろんですが、Jリーグもとっても楽しいですよ!
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